現代の学校と保護者間の問題の多くが、双方のコミュニケーション不足から来ています。
コミュニケーションが減っていくと、子どもについて学校が知りえる情報が減っていき、保護者は何も話さなくてよくなり…。
その結果、学校と保護者が話す時は、悪いことを話題にしたときのみとなってきました。
「何かしてくれ」
「何でしてくれない」
コミュニケーション不足が招いた苦情と文句。
その延長線上に、
モンスター・ペアレンツ、
給食費滞納、
問題があります。
学校という教育の場が、サービス化してしまっている現状があります。
学校と保護者間だけではありません。
保護者同士の関係も希薄になってしまっています。
普段から、コミュニケーションをしっかりとっておくだけで解決できるトラブルが尾を引き、それがいじめに繋がっている場合もあります。
親同士の仲が悪いと、子ども同士も仲が悪くなってしまいます。
それなのに、子どもには「仲良くしろ」という矛盾。
子どもは、大人のそうした矛盾をしっかりと見つめています。
子どもは、大人のそうした矛盾から、大人への信頼を失っていきます。
今の子どもたちは、一様に『長生きしたくない』と言います。
30歳まで生きたくない。
大人になっても、いいことなどない、と・・・。
早く死ぬことを考えているから、勉強も何のためにするのかがわからない。
未来に、悪いことが起きると思っているから、早く死にたい、と・・・。
現代は死へのハードルがすごく低くなっています。
マスコミは毎日のように当たり前に『死』を報道し、葬儀のシーンなどを流しては、自殺念慮のある者に、自分の死後の葬儀の様子を想像させています。
「自分が死ねが、あんなふうに人々は悲しんでくれる」
自分の死後をイメージして、その人はさらに死に近づいていく。
子どもたちも同じです。
子どもに自殺をさせたくないのならば、まず大人が自ら「楽しい大人の姿」を見せねばなりません。
大人が常に楽しく元気に過ごすこと。
これは難しいように見えますが、実はとっても簡単です。
以下は、山脇先生ご自身が楽しく元気に過ごすために、実践なさっていることの一例です。
『人に対する要求水準を下げて』いることで、人に腹が立たなくなります。
たとえば、仕事が手いっぱいになってくると、誰でも余裕を失ってしまいがちですが、
手伝ってくれないと思うのではなく、「私の仕事の邪魔をしてくれなければそれでいい」と思うようにしています。
嫌いな人ほど、親切にしています。
ちなみに私は、職場の中ではベテランの域に入るのですが、毎日、朝、お茶を入れています。
継続しているうちに、ただお茶を入れているだけなのに、
あまりウマが合わなかった上司が「あ、こいつはいいやつだな」と思ってくれるようになりました。
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子どもたちに、楽しく元気に生きることを伝えたいなら、まず大人が楽しく元気に生きること。
山脇先生の講演では、理想の大人の姿までもを包括して語って下さいました。
いじめ問題は、実は私たち大人が生きる姿勢を変えることで初めて解決する問題なのでしょう。
我が子がいじめをきっかけとして不登校になったとき、
不用意に学校へ行かないことを責めたりもしましたが、
逆に考えると、自分の身は自分で守る力を十分備えていたことになります。
生きていく上で、嫌なことはたくさんあります。
辛いこと、悲しいこともたくさんあります。
でも、まず身近な大人ひとりひとりが、楽しく元気に生きる姿を見せること。
それこそが、いじめをなくす最大の取り組みに繋がるのでしょう。
地域に生きる一人の大人として、
子どもたちに見られても恥ずかしくない生き方をしていきたいと、心から思いました。
長編にお付き合い下さり、誠にありがとうございました。
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